4月14日の熊本大地震について、地震の専門家ではありませんが、テレビなどマスコミでは分かりにくいことについて解説してみます。
最初の地震は前震ということでしたが、最大震度が7、マグニチュード6.5と地震の大きさを示すマグニチュードの割には震度が7と大きかったのは震源が浅かったためです。揺れが大きかった割には朝になって全貌がテレビで確認できたときも被害は思っていたほどではありませんでした。
そして深夜に起きた本震が最大震度7、マグニチュード7.3、一夜明けた全貌は前の日とは大違いで多くの建物が崩壊した悲惨な状況でした。
マグニチュード7.3は阪神大震災に匹敵する地震で、前震の6.5の16倍にも達するということです。今回の地震は、阪神大震災と同様活断層の横滑りという現象で長さ50kmの断層が水平方向に最大1.8m、垂直方向に最大70cmずれたということでした。航空写真でよく分かります。
益城における前震と本震の地震の性格をみると下図のようになります。
この揺れ方の違いが建物の崩壊率を高めている原因の一つなのです。
下記の図は日本で起こった様々な地震について何秒の揺れの強さが実際の建物被害と対応しているかを示したものです。縦軸の相関係数が大きな値の周期が建物被害と対応していると言えます。
これを見ると大ざっぱに言って、1-2秒という0.1-1秒より長い周期の揺れの強さが実際の建物被害と対応していることがわかります。
熊本地震では揺れの大きな前震で、建物の固有周期が短い低層の木造建物(ユラユラと動かない堅い建物:固有周期が0.2~0.5秒)の柱や梁との結合が緩み固有振動が1秒ほどに長くなるのです。そこに、1秒ほどの周期の本震に見舞われ、共振現象により地震エネルギーは倍増し崩壊につながってしまったと考えられます。
地震は、単に強い弱いだけでなく、ガタガタという揺れ(1秒以下の短周期地震動)、ユサユサという揺れ(1~2秒のやや中周期地震動)、ユラユラという揺れ(2~5秒の長周期地震動)が複雑に混ざり合っているのです。このどの周期の地震動が卓越しているのかにより地震の被害状況が変わるのです。ユサユサという揺れがキラーパルスといわれ建物に大きな被害を及ぼすのです。
地震は日本ではいつ発生するかわかりません。熊本では今月の4日に約8mのザトウクジラ、8日には長崎で約7mのザトウクジラが定置網にかかり海岸に打ち上げられていたそうです。地元漁業の話によると、クジラが定置網にかかったり、打ち上げられるようなことは、いままで無かったといいます。いつものことですが、大地震の前には何かしらの前触れがあるようですから、日ごろから非日常的なニュースには注意しましょう。