池島は軍艦島よりスゴイと見聞きしました

皆さんは世界遺産に登録された長崎の軍艦島はよくご存知でしょうが、近くに同じ炭鉱の島で最近閉山された池島は知らないと思います。どちらも海の下に埋もれている石炭脈を掘り出す島です。池島は2007年まで操業して昭和45年のピーク時には8000人近くが住んでいましたが今では150人程になってしまったのです。猫がその倍の300匹、本土から海を泳いで渡ってきたと思われるイノシシが急増して捕獲用の檻のワナを見せてもらいましたが、食べきれないほど捕獲できほとんどは埋めているとのことです。

 私は長崎からバスを乗りついで神浦という港から小さい船で池島に渡りました。数日前までは何十年ぶりの大雪で船も欠航し、その日は久しぶりの出航で12人乗りの船の乗客は私一人でした。 

 予約してあった炭鉱ツアーでは、大雪の後のため参加者は私一人で、一人ツアーは初めてだという幸運に恵まれました。

 炭鉱ツアーではトロッコに乗って炭鉱内部の見学や削岩機による掘削体験(右上の写真)などを行い(炭鉱内部に入れるのは日本で唯一だそうです)、充実したツアーが堪能できました。

 探鉱というのは島の下を掘るのかと思っていましたが、島は取り出し口で島の周りの地底に何十キロという横穴が掘られているのです。昔だったら極秘の坑道の地図(右上の写真)も見せて頂きましたが、超高速エレベーターで行く地底500mに網の目のように掘られています。

 その後ボランティアガイドによる私一人の島内見学。これが非常に印象的な島歩きでした。

 案内のガイドさんは通常はこの島で、閉鎖した工場の残務整理で娘夫婦とあと2,3年いるとのことでしたが、これまで1200人ものマンモス小学校に現在はガイドさんの孫1人、来年に下の孫が入り2人になるといったTVでも紹介された名物小学校。島のあちこちに将来軍艦島予備軍と思われるマンションがずらり。炭鉱は3交代の24時間操業なので店も24時間営業も少なくなく、飲み屋はもとより遊郭やボーリング場も盛んだったそうです。わずか十数年前まで操業していた炭鉱の町が現在はひっそりとした廃墟の街というのが、これまでに経験したことのない空気で身が包まれるのです。ボロボロに錆付いた大きな機械設備の廃墟に言葉も出ませんでした。

 後日行った軍艦島は観光地化されて大勢の観光客と一緒に一定の場所で見学するのですが、廃墟となった姿はすごいと思っても感激することはありませんでした。観光地は都会と同様な喧騒感があるため感動は少なく、池島は荒涼とした建物群、車の通らない道路にネコが寝そびるといった非日常的シーンだからこそ戦慄を覚えるのかもしれません。

 ここまで大胆ではなくとも、過疎になった農村集落も同じで、非日常シーンこそこれから観光として活用できるのではないでしょうか。

 池島は、昔タモリや仲間由紀恵さんなどの芸能人による紹介でテレビにも取り上げられたそうです。皆さんも長崎に行かれたら池島に是非行ってみて下さい。